作詞 奥邨義三
横雲は切れて跡なし大空に
輝くものは十六夜の
月の光は隈もなく
草葉の露は玉を縫い
夕果て無き秋風も
止みていつしか虫の音の
何を謡うか叢に
故郷思う草雲雀
君の凱陣を松虫と
喞つは花の機織や
縷をささず錦木を
飾るを頼む秋の蝶
尾花が末に敵瀝と
光を放つ蛍火は
君が馬前のか篝火か
雫に消えて又光る
その度々の嬉しさを
見せてもやらん男えし
敵を恨むは葛の葉か
葛にはあらぬ蔦桂
馬の足掻きを引き止めて
いとど悩まし星覬の
山に雲間に聳えつつ
鑿もて削る絶壁は
屏風を立して如くにて
勇めど路は捗らず
暫時は空を見たるのみ
又詮術はなかりける
いつ迄かくてあるべきぞ
行けや進めと励まされ
さらば徒足にて越えなんと
馬の背を下立つ
一軍すべて千余一
轡の音はりんりんと
谺をなして谷川の
水も流れる西の空
片破月を道しるべ
星の光は山の名の
行手明るし東雲の
はや近からんよ今の間と
岩打ち越えて登り行く
大将あとを見送りて
言甲斐もなき騎馬の人
馬に乗れるは何の為
駒を持てるは何故ぞ
徒足にて越さば俊足も
何とて甲斐のあるべきや
我は馬上をそのままに
苔に埋めし濡岩も
落ちて崩れん断崖も
何恐ろしき事あらん
山越す術はかくのこそと
駒の手綱を掻き取りて
岩の狭間も草芝の
露をも厭う事もなく
蹄に散らず虫の声
真一文字の星覬の
山路を越えて行く空に
星も隠れて横雲は
茜に染めて朝ぼらけ
一声高し駒の声
駿馬は勇む朝の風
横雲は切れて跡なし大空に
輝くものは十六夜の
月の光は隈もなく
草葉の露は玉を縫い
夕果て無き秋風も
止みていつしか虫の音の
何を謡うか叢に
故郷思う草雲雀
君の凱陣を松虫と
喞つは花の機織や
縷をささず錦木を
飾るを頼む秋の蝶
尾花が末に敵瀝と
光を放つ蛍火は
君が馬前のか篝火か
雫に消えて又光る
その度々の嬉しさを
見せてもやらん男えし
敵を恨むは葛の葉か
葛にはあらぬ蔦桂
馬の足掻きを引き止めて
いとど悩まし星覬の
山に雲間に聳えつつ
鑿もて削る絶壁は
屏風を立して如くにて
勇めど路は捗らず
暫時は空を見たるのみ
又詮術はなかりける
いつ迄かくてあるべきぞ
行けや進めと励まされ
さらば徒足にて越えなんと
馬の背を下立つ
一軍すべて千余一
轡の音はりんりんと
谺をなして谷川の
水も流れる西の空
片破月を道しるべ
星の光は山の名の
行手明るし東雲の
はや近からんよ今の間と
岩打ち越えて登り行く
大将あとを見送りて
言甲斐もなき騎馬の人
馬に乗れるは何の為
駒を持てるは何故ぞ
徒足にて越さば俊足も
何とて甲斐のあるべきや
我は馬上をそのままに
苔に埋めし濡岩も
落ちて崩れん断崖も
何恐ろしき事あらん
山越す術はかくのこそと
駒の手綱を掻き取りて
岩の狭間も草芝の
露をも厭う事もなく
蹄に散らず虫の声
真一文字の星覬の
山路を越えて行く空に
星も隠れて横雲は
茜に染めて朝ぼらけ
一声高し駒の声
駿馬は勇む朝の風
作詞 福羽美静
進めや進め日本人
日本武人は文明ぞ
朝鮮すでに治まれば
平壌義州に難もなし
たちまち支那地に攻め入りて
鳳凰廟に手を下し
それより四方に羽を伸ばし
盛京省を我がものを
次々蒙古に潜り入り
昔の夷を打ち開き
時をも延べず忽ちに
彼の北京を攻め潰し
その州郡に号令し
旅順も芝罘も後になし
上海香港それぞれに
数多の船を繋がせて
和合の春を醸しつつ
西洋諸国を喜ばせ
天地に誓いて文明の
徳義を宇宙に伸ぶるまで
進むは日本の義務おかし
僅かばかりの火口にて
百万斤の大砲の
大気を動かすものなれば
正しき導火に従いて
行けば天地に敵もなし
今の支那人清国は
いかなる故にて成立し
その時夷の一群ぞ
事を成し得て誇りしも
年経つうちに腐敗して
その一心はたのづから
他より攻めてぞ人民の
辛苦を救い文明の
大気を入れて日の本の
万世無窮の帝風を
公明至大の法をもて
亜細亜の草木に被らせ
西洋諸国諸々に
万歳唱うる時までも
進めや進め日本人
今こそ進む時なるぞ
進めや進め日本人
日本武人は文明ぞ
朝鮮すでに治まれば
平壌義州に難もなし
たちまち支那地に攻め入りて
鳳凰廟に手を下し
それより四方に羽を伸ばし
盛京省を我がものを
次々蒙古に潜り入り
昔の夷を打ち開き
時をも延べず忽ちに
彼の北京を攻め潰し
その州郡に号令し
旅順も芝罘も後になし
上海香港それぞれに
数多の船を繋がせて
和合の春を醸しつつ
西洋諸国を喜ばせ
天地に誓いて文明の
徳義を宇宙に伸ぶるまで
進むは日本の義務おかし
僅かばかりの火口にて
百万斤の大砲の
大気を動かすものなれば
正しき導火に従いて
行けば天地に敵もなし
今の支那人清国は
いかなる故にて成立し
その時夷の一群ぞ
事を成し得て誇りしも
年経つうちに腐敗して
その一心はたのづから
他より攻めてぞ人民の
辛苦を救い文明の
大気を入れて日の本の
万世無窮の帝風を
公明至大の法をもて
亜細亜の草木に被らせ
西洋諸国諸々に
万歳唱うる時までも
進めや進め日本人
今こそ進む時なるぞ