日清戦争~日露戦争前(明治26~明治36/1893~1903)
作詞 奥邨義三
横雲は切れて跡なし大空に
輝くものは十六夜の
月の光は隈もなく
草葉の露は玉を縫い
夕果て無き秋風も
止みていつしか虫の音の
何を謡うか叢に
故郷思う草雲雀
君の凱陣を松虫と
喞つは花の機織や
縷をささず錦木を
飾るを頼む秋の蝶
尾花が末に敵瀝と
光を放つ蛍火は
君が馬前のか篝火か
雫に消えて又光る
その度々の嬉しさを
見せてもやらん男えし
敵を恨むは葛の葉か
葛にはあらぬ蔦桂
馬の足掻きを引き止めて
いとど悩まし星覬の
山に雲間に聳えつつ
鑿もて削る絶壁は
屏風を立して如くにて
勇めど路は捗らず
暫時は空を見たるのみ
又詮術はなかりける
いつ迄かくてあるべきぞ
行けや進めと励まされ
さらば徒足にて越えなんと
馬の背を下立つ
一軍すべて千余一
轡の音はりんりんと
谺をなして谷川の
水も流れる西の空
片破月を道しるべ
星の光は山の名の
行手明るし東雲の
はや近からんよ今の間と
岩打ち越えて登り行く
大将あとを見送りて
言甲斐もなき騎馬の人
馬に乗れるは何の為
駒を持てるは何故ぞ
徒足にて越さば俊足も
何とて甲斐のあるべきや
我は馬上をそのままに
苔に埋めし濡岩も
落ちて崩れん断崖も
何恐ろしき事あらん
山越す術はかくのこそと
駒の手綱を掻き取りて
岩の狭間も草芝の
露をも厭う事もなく
蹄に散らず虫の声
真一文字の星覬の
山路を越えて行く空に
星も隠れて横雲は
茜に染めて朝ぼらけ
一声高し駒の声
駿馬は勇む朝の風
横雲は切れて跡なし大空に
輝くものは十六夜の
月の光は隈もなく
草葉の露は玉を縫い
夕果て無き秋風も
止みていつしか虫の音の
何を謡うか叢に
故郷思う草雲雀
君の凱陣を松虫と
喞つは花の機織や
縷をささず錦木を
飾るを頼む秋の蝶
尾花が末に敵瀝と
光を放つ蛍火は
君が馬前のか篝火か
雫に消えて又光る
その度々の嬉しさを
見せてもやらん男えし
敵を恨むは葛の葉か
葛にはあらぬ蔦桂
馬の足掻きを引き止めて
いとど悩まし星覬の
山に雲間に聳えつつ
鑿もて削る絶壁は
屏風を立して如くにて
勇めど路は捗らず
暫時は空を見たるのみ
又詮術はなかりける
いつ迄かくてあるべきぞ
行けや進めと励まされ
さらば徒足にて越えなんと
馬の背を下立つ
一軍すべて千余一
轡の音はりんりんと
谺をなして谷川の
水も流れる西の空
片破月を道しるべ
星の光は山の名の
行手明るし東雲の
はや近からんよ今の間と
岩打ち越えて登り行く
大将あとを見送りて
言甲斐もなき騎馬の人
馬に乗れるは何の為
駒を持てるは何故ぞ
徒足にて越さば俊足も
何とて甲斐のあるべきや
我は馬上をそのままに
苔に埋めし濡岩も
落ちて崩れん断崖も
何恐ろしき事あらん
山越す術はかくのこそと
駒の手綱を掻き取りて
岩の狭間も草芝の
露をも厭う事もなく
蹄に散らず虫の声
真一文字の星覬の
山路を越えて行く空に
星も隠れて横雲は
茜に染めて朝ぼらけ
一声高し駒の声
駿馬は勇む朝の風
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