日清戦争~日露戦争前(明治26~明治36/1893~1903)
作詞 西垣佐太郎
作曲 元橋義敦
見るは今宵と昔より
言いにし三五の夜半の月
明日は捨てんと思う身を
げにや今宵を限りにと
心に掛かる雲も無く
唐土掛けて進む影は
高麗の荒野に駒止めて
見渡す空の面白や
隈田河原にあらねども
清けき水の大同江
待乳の山にあらねども
一際高き牡丹台
白き波間に浮く影は
流れを渡す船の橋
小暗の森の梢にぞ
見ゆるは敵の旗ならん
秋とも言えど風寒し
置く霜白き真夜中に
氷の刃抜き連れて
駒の歩みを早めつつ
彼方の岡の凹みより
此方の野辺の小道より
河を渡りて敵塁に
迫るは味方の先鋒軍
有明月の影清く
夜は灰々と明け染めて
河面深く立ち込めし
狭霧晴れ行く絶え間より
一声響く砲の音
すわや戦は始まれり
時こそ来たれ諸共に
囲みて撃たん敵塁を
彼方は三万我はまた
二万に余る兵士等が
西に東に北南
均しく進む平壌府
蹄の響き鬨の声
進軍喇叭の音も高く
旭の御旗振り翳し
駆け行く様は山嵐
天に轟き地に震い
あわれこの世は崩るらん
猛る雷山を抜き
木々は砕けて空に舞い
飛交う矢玉は雨霰
きらめく剣は雷か
千百万の噴火口
吼ゆる響きは物凄し
日章高く昇るとも
閉ざす煙は光なく
いよいよ注ぐ敵の弾
ますます怒る味方軍
名誉を惜しみこの身をば
命は予ねて大君に
捧げ奉りしこの骸
捨つるは今と進み行く
馬に触るれば馬を斬り
人に触るれば人を斬り
斃るる屍踏み越えて
死地に駆け入るもののふの
鋭き刃に敵兵は
支えかねんぞ逃ぐるなり
いずこを指して逃ぐる兵
逃るる道はあらんなり
作曲 元橋義敦
見るは今宵と昔より
言いにし三五の夜半の月
明日は捨てんと思う身を
げにや今宵を限りにと
心に掛かる雲も無く
唐土掛けて進む影は
高麗の荒野に駒止めて
見渡す空の面白や
隈田河原にあらねども
清けき水の大同江
待乳の山にあらねども
一際高き牡丹台
白き波間に浮く影は
流れを渡す船の橋
小暗の森の梢にぞ
見ゆるは敵の旗ならん
秋とも言えど風寒し
置く霜白き真夜中に
氷の刃抜き連れて
駒の歩みを早めつつ
彼方の岡の凹みより
此方の野辺の小道より
河を渡りて敵塁に
迫るは味方の先鋒軍
有明月の影清く
夜は灰々と明け染めて
河面深く立ち込めし
狭霧晴れ行く絶え間より
一声響く砲の音
すわや戦は始まれり
時こそ来たれ諸共に
囲みて撃たん敵塁を
彼方は三万我はまた
二万に余る兵士等が
西に東に北南
均しく進む平壌府
蹄の響き鬨の声
進軍喇叭の音も高く
旭の御旗振り翳し
駆け行く様は山嵐
天に轟き地に震い
あわれこの世は崩るらん
猛る雷山を抜き
木々は砕けて空に舞い
飛交う矢玉は雨霰
きらめく剣は雷か
千百万の噴火口
吼ゆる響きは物凄し
日章高く昇るとも
閉ざす煙は光なく
いよいよ注ぐ敵の弾
ますます怒る味方軍
名誉を惜しみこの身をば
命は予ねて大君に
捧げ奉りしこの骸
捨つるは今と進み行く
馬に触るれば馬を斬り
人に触るれば人を斬り
斃るる屍踏み越えて
死地に駆け入るもののふの
鋭き刃に敵兵は
支えかねんぞ逃ぐるなり
いずこを指して逃ぐる兵
逃るる道はあらんなり
PR
作詞 後藤武雄
作曲 不詳
大同江の水高は
深くもあるか蘆田鶴の
渡るを見れば深からず
牡丹の台の敵営は
高くもあるか秋の蝉
鳴くを聞きては高からず
大同江にも優りたる
深き水高は君の恩
牡丹の台の高きにも
優れて高き国の恩
君の恵みに比べては
いとど浅瀬の大同江
何で渡れぬ事あらん
君の恩義に比べては
平地も同じ牡丹台
何の越されぬ事あらん
大同江を押し渡り
いざや報いぬ国の恩
牡丹の台を踏み越えて
いざや報いん君の恩
大同江を押し渡り
これより目指す牡丹台
敵の営所は近からん
牡丹の台に取り詰めて
見れば堅固の玄武門
敵の堅めは固からん
大同江は渡りたり
何とてここの破れざる
鳥さえ通うものなるを
蝉だに鳴きてあるものを
大和魂あるものの
この門一つ破られぬ
事の何とてあるべきか
我が神州の軍人は
死をば恐るるものならず
生きて帰らぬ心あり
生きて帰らぬ心して
玄武の門を破るべし
敵の堅めはありとても
君の恵みと国の恩
思えば命惜しからず
いざや開かん玄武門
武人たる身の本分を
思えば命惜しからず
いでや進まん牡丹台
玄武の門に近付きて
死地に乗り入り関門を
開きし者はこれ誰ぞ
我が軍隊の一兵士
作曲 不詳
大同江の水高は
深くもあるか蘆田鶴の
渡るを見れば深からず
牡丹の台の敵営は
高くもあるか秋の蝉
鳴くを聞きては高からず
大同江にも優りたる
深き水高は君の恩
牡丹の台の高きにも
優れて高き国の恩
君の恵みに比べては
いとど浅瀬の大同江
何で渡れぬ事あらん
君の恩義に比べては
平地も同じ牡丹台
何の越されぬ事あらん
大同江を押し渡り
いざや報いぬ国の恩
牡丹の台を踏み越えて
いざや報いん君の恩
大同江を押し渡り
これより目指す牡丹台
敵の営所は近からん
牡丹の台に取り詰めて
見れば堅固の玄武門
敵の堅めは固からん
大同江は渡りたり
何とてここの破れざる
鳥さえ通うものなるを
蝉だに鳴きてあるものを
大和魂あるものの
この門一つ破られぬ
事の何とてあるべきか
我が神州の軍人は
死をば恐るるものならず
生きて帰らぬ心あり
生きて帰らぬ心して
玄武の門を破るべし
敵の堅めはありとても
君の恵みと国の恩
思えば命惜しからず
いざや開かん玄武門
武人たる身の本分を
思えば命惜しからず
いでや進まん牡丹台
玄武の門に近付きて
死地に乗り入り関門を
開きし者はこれ誰ぞ
我が軍隊の一兵士
作詞 不詳
作曲 不詳
勝ち誇りたる軍隊は
蹄の音を後にして
はや影も無く進みけり
筒の響きも遠ざかり
煙ぞ濁り迷うなる
影微かなる星一つ
明け行く空に輝きて
血潮の露に宿るなり
安城河原の月冴えて
憎むか死せしますらおよ
聞け進軍の喇叭の音
なおも吹き鳴らすは誰ぞや
見よ夏草の一群に
戦死をなせしますらおよ
枕並ぶる喇叭卒
丘の士より野末まで
赤き心に息込めて
闇に轟く音高く
吹きし喇叭を今は手に
名誉の傷をその胸に
左手に傷を押さえつつ
右手に喇叭を握り締め
吹き鳴らすなり勇ましく
霧より脆き身なれども
息ある限り我が役目
哀れ勇士の朝夢を
草の床より呼び覚まし
死地に進めと下知しつつ
吹き鳴らすなりその喇叭
息ある限り吹けや吹け
ああ顔色は変わりたり
暫し喇叭の音止めよ
汝が任務は終わりたり
やよ誉れある喇叭手よ
任務は今や終わりたり
旭の旗の影あるぞ
陣頭高く今一度
弾飛び来る戦場の
血潮の中に今一度
彼が喇叭は響くまじ
されど最期の一声の
響きは絶えて事も無く
月影暗き軍営に
過ぎし戦を語る時
敵の砦を陥とし入れ
聞け勝鬨の声高く
汝が任務終わりたり
汝が喇叭に進みてし
勇士の城を乗っ取りて
いざ別れなんその前に
喇叭を挙げて今一度
凱旋の曲を奏せずや
別れの曲を奏せずや
最期に残る息込めて
枯野の辺り秋立ちて
野風に騒ぐ旗薄
永き恨みや隠すらん
暁深く今もなお
今しが喇叭は響くなり
実に日の本山桜
残す誉れの名ぞ高し
身は外国の野に死すも
永く留めなんますらおよ
名は白神の源次郎
名は白神の源次郎
作曲 不詳
勝ち誇りたる軍隊は
蹄の音を後にして
はや影も無く進みけり
筒の響きも遠ざかり
煙ぞ濁り迷うなる
影微かなる星一つ
明け行く空に輝きて
血潮の露に宿るなり
安城河原の月冴えて
憎むか死せしますらおよ
聞け進軍の喇叭の音
なおも吹き鳴らすは誰ぞや
見よ夏草の一群に
戦死をなせしますらおよ
枕並ぶる喇叭卒
丘の士より野末まで
赤き心に息込めて
闇に轟く音高く
吹きし喇叭を今は手に
名誉の傷をその胸に
左手に傷を押さえつつ
右手に喇叭を握り締め
吹き鳴らすなり勇ましく
霧より脆き身なれども
息ある限り我が役目
哀れ勇士の朝夢を
草の床より呼び覚まし
死地に進めと下知しつつ
吹き鳴らすなりその喇叭
息ある限り吹けや吹け
ああ顔色は変わりたり
暫し喇叭の音止めよ
汝が任務は終わりたり
やよ誉れある喇叭手よ
任務は今や終わりたり
旭の旗の影あるぞ
陣頭高く今一度
弾飛び来る戦場の
血潮の中に今一度
彼が喇叭は響くまじ
されど最期の一声の
響きは絶えて事も無く
月影暗き軍営に
過ぎし戦を語る時
敵の砦を陥とし入れ
聞け勝鬨の声高く
汝が任務終わりたり
汝が喇叭に進みてし
勇士の城を乗っ取りて
いざ別れなんその前に
喇叭を挙げて今一度
凱旋の曲を奏せずや
別れの曲を奏せずや
最期に残る息込めて
枯野の辺り秋立ちて
野風に騒ぐ旗薄
永き恨みや隠すらん
暁深く今もなお
今しが喇叭は響くなり
実に日の本山桜
残す誉れの名ぞ高し
身は外国の野に死すも
永く留めなんますらおよ
名は白神の源次郎
名は白神の源次郎
作詞 佐々木信綱
作曲 納所弁次郎
煙か波かはた雲か
遥かに見ゆる薄煙
海原遠く眺むれば
嬉しや正に敵の艦
溢るる勇気抑えつつ
待ちに待ちたる敵の艦
砕きて撃ちて黄海の
藻屑となさん時の間に
轟く砲の音凄く
逆巻く波の音荒く
海洋島の沖つ辺に
激しき戦い起りたり
艦の中にも赤城艦
艦は小さくか弱きも
鉄より堅き心もて
士卒は艦を進むなり
砕けや撃てや敵の艦
残る艦無くならんまで
胸をば楯に身を的に
進めや撃ての声高し
弱きを狙う敵艦は
左に右に寄せ来るを
続きて放つ我が砲に
敵の甲板人も無し
飛び来し敵の砲弾は
音凄まじく砕けたり
今までありし艦長の
姿は見えずなりにけり
砕けや撃ての号令は
士卒の耳に残れども
今まで立ちし艦長の
姿は見えずなりにけり
か弱き艦を進めつつ
優れる艦と戦いて
栄えある戦に艦長は
栄えある死をば遂げにけり
その身はよしや朽ちるとも
誉れは朽ちじ千代八千代
赤城の艦の名と共に
赤き心ぞ歌われん
作曲 納所弁次郎
煙か波かはた雲か
遥かに見ゆる薄煙
海原遠く眺むれば
嬉しや正に敵の艦
溢るる勇気抑えつつ
待ちに待ちたる敵の艦
砕きて撃ちて黄海の
藻屑となさん時の間に
轟く砲の音凄く
逆巻く波の音荒く
海洋島の沖つ辺に
激しき戦い起りたり
艦の中にも赤城艦
艦は小さくか弱きも
鉄より堅き心もて
士卒は艦を進むなり
砕けや撃てや敵の艦
残る艦無くならんまで
胸をば楯に身を的に
進めや撃ての声高し
弱きを狙う敵艦は
左に右に寄せ来るを
続きて放つ我が砲に
敵の甲板人も無し
飛び来し敵の砲弾は
音凄まじく砕けたり
今までありし艦長の
姿は見えずなりにけり
砕けや撃ての号令は
士卒の耳に残れども
今まで立ちし艦長の
姿は見えずなりにけり
か弱き艦を進めつつ
優れる艦と戦いて
栄えある戦に艦長は
栄えある死をば遂げにけり
その身はよしや朽ちるとも
誉れは朽ちじ千代八千代
赤城の艦の名と共に
赤き心ぞ歌われん