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日清戦争~日露戦争前(明治26~明治36/1893~1903)
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春の弥生の朝霞
匂う桜の木の間より
昇る朝日は白砂の
富士の高根に輝きて
光のどけき君が代を
千代に八千代の末までも
護る勤めは有明の
尽きぬ名残を夕暮れに
雨は朧と故郷の
別れし家路を打ち捨てて
身は連隊に入りしより
早二年の旅衣
戦の枕に夜は暮れて
秋の憐も白露の
契りも深き戦友に
励まされつつ励ましつ
書を書く冬の窓
戦擬う春の野辺
磨く剣と魂の
光は常に輝きて
三千九百万人の
名誉財産生命を
両手に握るつわものの
身は日本の礎と
思えば軽き我が命
千々に砕けて果てるとも
遺る憾はあらがねの
弾丸の霰も降らば降れ
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作詞 大和田建樹
作曲 多梅雅


響くはひびく軍馬の嘶き
響くはひびく喇叭の響き
日本男児の誠忠を
尽きるはこの時遅るな友よ
弾丸霰と降り来る中に
命捧げていざ行きいざ立て
白刃木の葉と散り来る中に
馬の進みていざ行きいざ立つ

響くは響く数千の砲声
響くは響く数万の叫び
宗廟祖先の墳墓の地
守るはこの時来たれや友よ
重きは君恩軽きは一死
これぞ日本男児の魂
倒れて止むべし後へは引くな
敵軍間近しいざ行けいざ立て
作詞 一柳安次郎



夏草繁れる船橋里
つわもの共の夢いずこ
文石立てるそのあたり
飛ぶ蛍火の色青し
国の御為と走り猪の
返り見せぬ心にて
末の望みをこの里に
捨てにし人もあるならん
惜しき別れも君の為
故郷遠く旅立ちて
愛しき我が妹子その上を
夢見る夫もあるならん
きみの御召に筆を捨て
剣執り佩き旅枕
重ね重ねて今ここに
眠る学者もあるならん

鋤を片手に田舎歌
取り入る米の豊けさに
腹の鼓を叩きけん
村の田長もあるならん
老いも若きも尊きも
賤しき者も皆々に
一つ枕に眠るなり
剣の閃き銃の音
いかに烈しくありつらん
辺りの草木も枯れ果てて
血潮の跡に苔ぞ生す
屍はここに打つむとも
名は万代も朽ちざらん
路行く人も杖止めて
勲を慕う船橋里
作詞 奥邨義三


横雲は切れて跡なし大空に
輝くものは十六夜の
月の光は隈もなく
草葉の露は玉を縫い
夕果て無き秋風も
止みていつしか虫の音の
何を謡うか叢に
故郷思う草雲雀

君の凱陣を松虫と
喞つは花の機織や
縷をささず錦木を
飾るを頼む秋の蝶
尾花が末に敵瀝と
光を放つ蛍火は
君が馬前のか篝火か
雫に消えて又光る
その度々の嬉しさを
見せてもやらん男えし

敵を恨むは葛の葉か
葛にはあらぬ蔦桂
馬の足掻きを引き止めて
いとど悩まし星覬の
山に雲間に聳えつつ
鑿もて削る絶壁は
屏風を立して如くにて
勇めど路は捗らず
暫時は空を見たるのみ
又詮術はなかりける
いつ迄かくてあるべきぞ
行けや進めと励まされ
さらば徒足にて越えなんと
馬の背を下立つ
一軍すべて千余一
轡の音はりんりんと
谺をなして谷川の
水も流れる西の空
片破月を道しるべ
星の光は山の名の
行手明るし東雲の
はや近からんよ今の間と
岩打ち越えて登り行く
大将あとを見送りて
言甲斐もなき騎馬の人

馬に乗れるは何の為
駒を持てるは何故ぞ
徒足にて越さば俊足も
何とて甲斐のあるべきや
我は馬上をそのままに
苔に埋めし濡岩も
落ちて崩れん断崖も
何恐ろしき事あらん
山越す術はかくのこそと

駒の手綱を掻き取りて
岩の狭間も草芝の
露をも厭う事もなく
蹄に散らず虫の声
真一文字の星覬の
山路を越えて行く空に
星も隠れて横雲は
茜に染めて朝ぼらけ
一声高し駒の声
駿馬は勇む朝の風
作詞 福羽美静


進めや進め日本人
日本武人は文明ぞ
朝鮮すでに治まれば
平壌義州に難もなし
たちまち支那地に攻め入りて
鳳凰廟に手を下し
それより四方に羽を伸ばし
盛京省を我がものを
次々蒙古に潜り入り
昔の夷を打ち開き
時をも延べず忽ちに
彼の北京を攻め潰し
その州郡に号令し
旅順も芝罘も後になし

上海香港それぞれに
数多の船を繋がせて
和合の春を醸しつつ
西洋諸国を喜ばせ
天地に誓いて文明の
徳義を宇宙に伸ぶるまで
進むは日本の義務おかし
僅かばかりの火口にて
百万斤の大砲の
大気を動かすものなれば
正しき導火に従いて
行けば天地に敵もなし
今の支那人清国は
いかなる故にて成立し
その時夷の一群ぞ
事を成し得て誇りしも
年経つうちに腐敗して
その一心はたのづから
他より攻めてぞ人民の
辛苦を救い文明の
大気を入れて日の本の
万世無窮の帝風を
公明至大の法をもて
亜細亜の草木に被らせ
西洋諸国諸々に
万歳唱うる時までも
進めや進め日本人
今こそ進む時なるぞ
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