日清戦争~日露戦争前(明治26~明治36/1893~1903)
作詞 佐々木信綱
作曲 奥好義
煙も見えず雲も無く
風も起こらず波立たず
鏡のごとき黄海は
曇り初めたり時の間に
空に知られぬ雷か
波にきらめく稲妻か
煙は空を立ち込めて
天津日影も色暗し
戦い今かたけなわに
務め尽せるますらおの
尊き血もて甲板は
唐紅に飾られつ
弾丸の破片の飛び散りて
数多の傷を身に負えど
その玉の緒を勇気もて
繋ぎ止めたる水兵は
間近く立てる副長を
痛む眼に見とめけん
彼は叫びぬ声高に
「まだ沈まずや定遠は」
副長の眼は潤えり
されども声は勇ましく
「心安かれ定遠は
戦い難くなし果てき」
聞きえし彼は嬉しげに
最後の微笑を漏らしつつ
「いかで仇を討ちてよ」と
言う程も無く息絶えぬ
「まだ沈まずや定遠は」
この言の葉は短きも
皇国を思う国民の
胸にぞ長く記されん
副艦長の過ぎ行くを
痛む眼にみとめけん
苦しき声を張り上げて
彼は叫びぬ副長よ
呼び止められし副長は
彼のかたえに佇めり
声を絞りて彼に問う
まだ沈まずや定遠は
皇国に尽くす皇軍の
向かう所に敵も無く
日の大御旗うらうらと
東の洋を照らすなり
作曲 奥好義
煙も見えず雲も無く
風も起こらず波立たず
鏡のごとき黄海は
曇り初めたり時の間に
空に知られぬ雷か
波にきらめく稲妻か
煙は空を立ち込めて
天津日影も色暗し
戦い今かたけなわに
務め尽せるますらおの
尊き血もて甲板は
唐紅に飾られつ
弾丸の破片の飛び散りて
数多の傷を身に負えど
その玉の緒を勇気もて
繋ぎ止めたる水兵は
間近く立てる副長を
痛む眼に見とめけん
彼は叫びぬ声高に
「まだ沈まずや定遠は」
副長の眼は潤えり
されども声は勇ましく
「心安かれ定遠は
戦い難くなし果てき」
聞きえし彼は嬉しげに
最後の微笑を漏らしつつ
「いかで仇を討ちてよ」と
言う程も無く息絶えぬ
「まだ沈まずや定遠は」
この言の葉は短きも
皇国を思う国民の
胸にぞ長く記されん
副艦長の過ぎ行くを
痛む眼にみとめけん
苦しき声を張り上げて
彼は叫びぬ副長よ
呼び止められし副長は
彼のかたえに佇めり
声を絞りて彼に問う
まだ沈まずや定遠は
皇国に尽くす皇軍の
向かう所に敵も無く
日の大御旗うらうらと
東の洋を照らすなり
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